沖縄取材日記 vol.8 久高島 イザイホーの扇とイラブ海蛇
11月5日(土)から8日(火)まで久高島に滞在。
イザイホーに使う扇を見せていただきました。神女(カミンチュ)がこの扇を持って踊るそうです。扇の表には太陽と鳳凰、裏には月と牡丹が描かれています。
扇を持っている方は、かつて神女をなさっていらしたかたで現在は93歳。
創業が大正12年という島で唯一の商店を営みながら、お客さんの相手も、お金の計算も、現役で仕事をしてらっしゃるのです。
好物はイラブー汁だそうで、ほぼ毎日のように召し上がってらっしゃるとか。
93歳とはとても思えないほどに、美しく気品のある女性でした。
「この扇、昔は500円だったのよね。」
とおばあちゃま、イザイホーは1978年を境に途絶えてしまっているので、その頃にこの扇を持って踊られていたのですね。
私の武蔵美の教え子はここの商店に嫁いで、可愛い女の子を授かりました。
イラブー汁。
この泡盛にニガナアエはさいこうに美味しい。ニガナは島のいたるところに生えていて、お祝いの席に出すそうです。
イラブー汁、ニガナとサンマの和え物、モズクの天ぷら、豚と冬瓜の炊いたもの、などなど教え子が手料理で作ってくれました。
前列、左から3番目の女性が93歳のおばあちゃま。それにしても、皆さん美人ですよね!
折口信夫が撮影したノロの写真、大正7年頃のもの。
早朝にイラブ海蛇のしつらえを見学させていただきました。イラブの頭を叩いて殺し、茹でた後に鱗を漁師網でこそぎ、その後に燻製小屋で燻製されます。
イラブ海蛇はハブやコブラの80倍の毒があり、毒性が強いために噛まれたら人は死んでしまいます。普段はとてもおとなしくて、奥歯に毒があるので、滅多に噛まれることはないそうです。
イラブーを獲れるのは、現在は70歳代のおばあ二人だけ、イラブー漁はイラブー釜という岩場で夜に行われ素手で獲ります。
イラブ汁のイラブは真っ黒で、食べる時に少しぎょっとしましたが、
こんなに美しい青い色の海蛇だったのですね。
かつては琉球王朝の王様への貢物だったそうで、高貴な食べ物なのです。
娘はイラブ汁を全部食べましたが、そのお味は淡白で鰹節のような感じだそう。夜になると体中から血が沸いてくるように元気になってすごい、と言ってました。
イラブ海蛇の燻製小屋(バイカンヤー)、築100年だそうです。
神聖な場所なので、小屋の中は見せてはいただけませんでした。
左側はイラブ海蛇のしつらえ、その右はシラタル宮でファガナシーが島の母に対しての男の象徴。この二人から久高島は生まれたと言われています。
この前は御前庭といい、イザイホーの主祭場でした。
繋がれた子犬に話しかけるしあん。
そして、早朝の光の中で亜里の撮影。今回の沖縄ではだいぶ写真を撮っていました。近いうちに作品として見れるのが楽しみ!
大津、琵琶湖回想
滞在した琵琶湖ホテルから見る朝焼けの琵琶湖はとても美しかった!遠くに見えるのは近江富士。
三井寺では訶梨帝母倚像(鎌倉時代)を文化財収蔵庫で拝観、大津歴史博物館で大津絵を見て、そして建部大社では女神像(平安時代)を拝観、展覧会で大津へ行ったにもかかわらず、古美研もできてとても充実した旅となりました。
案内をしてくださったのは大津数寄和のオーナーの麻田さん、麻田さんからは大津の歴史や文化を色々と教えていただき、三井寺にフェノロサが滞在し、そのお墓もあるということもお聞きしました。
麻田さん、どもありがとうございました!
大津のギャラリー、数寄和で開催した室井佳世さんとの2人展「平面の饗宴」、
終了いたしました。
大津のみならず京都や遠方をいらしてくださった皆様、どうもありがとうございました。
京都から友人や武蔵美の教え子の片岡渡さん、友人の画家清水豊さんも来てくれて、久しぶりの再会に嬉しかったです。
片岡渡くんが作品データを送ってくれたので、せっかくなのでここにアップ。京都のギャラリーで発表をしてるけど、東京でも個展を開いて欲しいなと。
クリスマスは籠の鳥
娘としあん、初のインフルエンザにかかりました。
なので、クリスマスはお粥の大根飯に野菜スープ、1週間は外出していけないそうなので、みんな年末までどこへも行かれません。
しあんは遊びに行けないストレスマックス、娘は食欲ゼロ。
私はマスクにうがいに手洗に除菌に、そして部屋の換気と加湿と、みんなの料理と、
今のところ無事ですが、こんなクリスマスと年の瀬です。
武蔵美の授業や、展覧会の仕事がすべて終わってたから、それだけでもよしとしよう。
インフルエンザは突然に高熱になります、医者へ行くのは熱が出た次の日でないとインフルにかかっているかどうか検査ができないそうです。
高熱と、倦怠感と、関節の痛みと、食欲不振と、インフルは大流行り、
外から帰ったら手洗いとうがいを、必ずしましょ!!
だけど今夜はクリスマス、サンタさんが会いに来てくれたよ、
突然、窓から入ってきたサンタさんにしーちゃんびっくり、握手もしたね、よかったね。
インフルエンザ病み上がりのお母さんサンタ頑張るのでした!
みんなでメリークリスマス!!!
沖縄取材日記 vol.7 久高島
1609年、薩摩の軍隊が琉球を侵略しました。久高島には薩摩屋敷が置かれ、琉球の行事を監督し、それは270年間も続きました。今でも薩摩屋敷跡は残っていて、その末裔も暮らしています。
ペリー来航時には飛舟(飛脚に対してのもの)が行き交い、久高島は南の要所であったそうです。
久高島の神殿の向かいにある「イビ」という拝所、ガジュマルの木で覆われた聖なる場所です。イビは神聖な女性器をあらわしていますが、ガジュマルの木がそうであるように「繁栄」という意味があるそうです。
私はイビに手を合わせ祈りを捧げてから、この場所をスケッチさせていただきました。
「ピ」は女性器のことでもともと鳥居の原型であり、鳥居の参道は本来は女性の産道を意味するものであったそうです。
この神殿とイビの前でイザイホーの神事が執り行われてきました。
久高島を訪れた人は、まずこの神殿を参拝することから始まるのです。
神殿には太陽、月、竜宮、土地、安産、長寿、火の神、の7つの神が祀られてあります。と言っても何かが祀られているのではなく、社があるだけの神聖な場所です。太陽、月、竜宮、土地は自然を崇拝するもの、火の神はゾロアスター教に近いのでしょうか。
神殿にある賽銭箱には百甕(ムムバメー)と書かれていますが、お金をいただくというのではなく、たくさんの食べ物をいただき、いつも感謝すること、という意味だそうです。
神殿の前で友人たちと。
神殿の右側にはファガナシーという拝所があり、島の母が祀られています。島はここから始まりました。男性はシラタルーと言われ、ファガナシーとシラタルーのこの二人から島は生まれました。
縄文の世界では男たちは根の人であり、常に世界を移動していて、子供を授けてくれる丈夫で元気な男であれば、女たちにとって男は誰でも良かったそうです。
沖縄では子供はみんなの子供であり、誰が育てるというのではなく、みんなで一緒になって分け隔てなく育てるそうで、今でもそれは引き継がれています。
現在の沖縄は少子化とは程遠く、子供たちが大勢生まれているそうです。那覇の保育園はそんなわけで入るのが大変らしいですが、子供たちは4歳までは保育園で育ち、5歳になると幼稚園へ進んで小学校へ上がる準備教育を全員してるそうです。
また、母子家庭の子供たちは母親が働いている間は、近所のおばあや友人たちの家でご飯を食べさせてもらったり、生活の面倒を見てもらったりするそうです。沖縄では母子家庭のお母さんたちはのびのびと仕事と子育てをすることができるんですね、なんとうらやましい環境!!
そんなわけで、女性一人でも生きていける社会がここにはあります。
久高島も沖縄も女性達がほんとうによく働く、子供を育てている、
ここは母性の島なのです。
沖縄の離婚率は高いらしいのですが、ダメな男性はすぐに捨てられてしまうのですね!!
女性はいつの時代もいさぎよくてたくましいです。
かつての日本のおおらかなかたちが、ここではまだ続いていて、
みんなで子供たちを育てること、ほんとうに素晴らしいことです。
フボー御嶽。御嶽とは神のよりしろであり、なにも無いこと。
御嶽は木が多い場所、多木、御多木が本来の名前だそうです。
台所の神様。
久高島では古い一軒家を借りたのですが、部屋には貝が飾られていました。この貝はテゥカムリ、ゴホウラ貝と言われ、これらは神聖な貝で奄美大島から南しか採れない貝です。青森の三内丸山遺跡や北海道でもこの貝を見ることができますが、縄文末期に人々は南から北へとこの神聖な貝を持って移動をしていました。
おそらく縄文時代は人々が生まれることが最大の祭りごとであったことに、使われていたのかもしれません。
青森と北海道という場所でこの貝が発見されることは大変興味ふかい話ですよね。
滞在したミーチャリーという家の庭。水場にシーサーがいる。
久高島を案内してくださった友人のご主人と子どもたちと。友人は私の武蔵美での教え子であり、沖縄行きも久高島へ来るきっかけも私が勧めたのです。久高島の人に嫁ぎ、可愛い女の子を授かり、とてもいい顔をした素敵な島の女になっていました。
ご主人は以前は久高島の漁師さん、現在は久高島の文化や歴史を訪れた方たちに案内をしながら伝えてらっしゃいます。イラブー漁の復活や久高島の塩を作ってらっしゃる、島の未来を担う貴重な存在です。
島にある食堂は3軒だけ、以前来た時はここで海ぶどう丼とゴーヤチャンプルーばかりを食べていました。久しぶりの食堂「けいさん」、あの時と何も変わっていない。
一日だけの「内田あぐり素描展」
キッド・アイラック・アート・ホール閉業記念の素描展と窪島誠一郎氏との対談、
終了いたしました。
年末のお忙しい中をいらしてくださった方々、どうもありがとうございました。
キッドがこの十二月いっぱいで幕を下ろしてしまうこと、本当に残念ですが、またいつの日か復活を願って。
窪島さん、長い間お疲れ様でした。
友人の律子さんが撮ってくださった昼間のキッド、道ゆく方が足を止めてキッドの空間を見てくださってます。
三ヶ岡山緑地へハイキング
先週の日曜日に家の近くにある三ヶ岡の山にハイキングへ出かけました。
武蔵美の授業や会議、続いた展覧会の準備やレセプションなどなど、そして娘のハードな仕事続きと、二人ともすっかり疲れてしまっていたのです。
おにぎりを持ってしあんを連れてのハイキング、天気も良くて山の頂上から見える葉山の海はとても美しかった!葉山は海もいいけれど、山も奥が深いのです、おまけに日曜日なのに人が誰もいないし。
運動不足解消と最高の気分転換の日曜日でした。
しーちゃん、800メートルの山、よく歩いたよね、また行こう!
800メートルの山の頂上でのランチと風景はサイコー!!
登り口で見つけた高江の森の張り紙。東中野のポレポレ座で上映するんですね、見に行きたい。
そして夜は念願の焼肉、美味しかったー!